綺羅は少しだけ考え込む。

そして、星那の顔を見上げて優しく笑った。


綺羅「じゃあ少しだけ寄ってく?」


星那は目を丸くする。


綺羅「まだ時間あるしコーヒーでも飲んで少しゆっくりしてから帰ればいいよ。」


星那は嬉しそうに小さく笑った。


星那「……行く。」


綺羅「ふふっそんなに嬉しい?」


星那は迷うことなく頷く。


星那「綺羅と一緒にいたい。」


その真っ直ぐな言葉に、綺羅は照れながら鍵を取り出した。

マンションのエントランスへ向かって歩き出す二人。

恋人になって初めて訪れる、綺羅の家。

まだ「同棲」ではない。

ただ、一緒にいたいから。

それだけの理由で過ごす、何気ない時間。

その何気ない幸せこそ、二人がずっと手に入れたかったものだった。