夕日に染まる月ヶ瀬学園。

放課後の屋上には、心地よい風が吹いていた。

ギィ……。

重たい扉を開け、綺羅はゆっくり屋上へ足を踏み入れる。

その後ろから星那も続いた。

綺羅はフェンスの前まで歩くと、夕焼けに染まる街を眺めながら小さく笑う。


綺羅「懐かしいね。」


星那「……うん。」


綺羅「ここから全部始まった。」


星那もフェンスにもたれ、静かに空を見上げた。

しばらく二人は何も話さない。

沈黙なのに、不思議と気まずくない。

綺羅はふっと笑う。


綺羅「覚えてる?あの日。」


星那は小さく頷いた。


星那「覚えてる。」


綺羅「私が屋上でタバコ吸ってたら。急に後ろから『なにしてんの?』って。」


星那は少しだけ口元を緩める。


星那「……聞いた。」


綺羅「見つかったって思ったもん。先生に言われるかなって。」


星那は首を横へ振る。


星那「言わない。」


綺羅「なんで?」


星那は少し考えてから答えた。


星那「綺羅だったから。」


綺羅は思わず吹き出した。


綺羅「またそれ。その理由ずるい。」