私は写真立てを手に取った。
何度見たか分からない写真だった。
少し色褪せたその写真には私と琉羽が写っている。肩を組みながら笑う私達は今よりずっと幼くて、何も怖いものなんてないと思っていた頃だった。
この頃から琉羽は目立っていた。
喧嘩が強いとか、顔がいいとか、そういう理由じゃない。
気付けば人が集まっている。
そんな奴だった。
私達がどこへ行っても仲間が増えた。琉羽は誰とでも話すし、誰にでも手を差し伸べる。正直理解できなかった。
面倒じゃないのかなって。
人と関われば傷付く事も増える。
裏切られる事だってある。
だけど琉羽は気にしなかった。
『綺羅は考えすぎなんだよ』
そう言って笑う。
『もっと気楽に生きろって』
今思えば、一番気楽に生きていたのは琉羽だったのかもしれない。
私は昔から考え込む癖があった。
失敗したらどうしよう。
負けたらどうしよう。
誰かを失ったらどうしよう。
そんな事ばかり考えていた。
だけど琉羽は違った。
今を生きる人だった。
だからみんなあいつを好きだったんだと思う。
私も含めて。
写真の中の笑顔を見つめながら小さく息を吐く。
会いたい。
その気持ちは今でも消えない。
消える気配もない。
どれだけ時間が経っても、どれだけ前を向こうとしても、気付けば隣にいるはずの姿を探してしまう。
でも。
その願いだけは、もう叶わない。
だから私は写真から目を逸らした。
見ていると、どうしても考えてしまう。
もしあの日。
私がもっと強かったら。
違う未来があったんじゃないかって。



