綺羅の言葉を聞いたまま、星那は静かに俯いた。

綺羅は不思議そうに首を傾げる。


綺羅「星那?」


星那はゆっくりと握り締めていた拳を見つめた。


星那「……嬉しかった。」


小さな声だった。

でも、その一言にはたくさんの想いが詰まっていた。

綺羅は静かに耳を傾ける。


星那「でも、嬉しいって思った自分が嫌だった。」


綺羅は目を見開く。

星那は苦しそうに笑った。


星那「綺羅がおれを守ってくれた。それが嬉しかった。でも、そのせいで綺羅が傷付いた。だから……嬉しいなんて思っちゃいけない。」


病室に静かな沈黙が流れる。

綺羅は何も言わず、星那の手へそっと自分の手を重ねた。


綺羅「……優しいね。」


星那はゆっくり首を横へ振る。


星那「違う。弱いだけ。綺羅を守れなかった。」