病室に静かな寝息が響く。

綺羅は膝の上で眠る星那を見つめながら、小さく笑った。


綺羅「……こんなに安心して寝ちゃって。」


前髪を優しく撫でる。

そのたびに星那は気持ち良さそうに小さく身じろぎした。

綺羅はその姿を見ながら、夢の中で会った琉羽の言葉を思い出す。

『今度は、お前が幸せになれ。』

『今のお前には、守りたい奴がいるだろ。』

綺羅は自分の胸へそっと手を当てた。

あの日までは琉羽のことだけを考えていた。

復讐だけを考えていた。

だけど今は違う。

星那が笑うと安心する。

星那が眠れていると嬉しい。

星那が傷付く姿なんて、もう見たくない。


綺羅「……これって。」


小さく呟いたその時だった。

星那が眠ったまま綺羅の制服をぎゅっと掴む。

綺羅は思わず吹き出した。


綺羅「もう。寝てるのに掴むんだ。」