その瞬間だった。

星那の瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。

綺羅は少し驚いて目を見開いた。


綺羅「えっ……。」


星那は何も言わない。

ただ、繋いだ手を強く握り返した。

その手は小さく震えている。


綺羅「星那……?」


星那はゆっくり俯き、涙を拭おうともしない。


星那「……よかった。」


小さく漏れた声。

それだけで十分だった。

どれだけ心配していたのか。

どれだけ怖かったのか。

全部伝わってくる。

綺羅は少し身体を起こそうとして、痛みに顔をしかめる。


綺羅「いたた……。」


星那「動かないで!」


思わず大きな声が出る。

綺羅はきょとんと星那を見る。

星那は慌てて口を押さえた。

そして少し照れたように視線を逸らす。


星那「……もう心配、させないで。」


震えるその声を聞いて、綺羅は優しく微笑んだ。


綺羅「……ごめん。」


その言葉に、星那は何も答えなかった。

ただ、もう二度と離さないと言うように、綺羅の手をそっと握り続けていた。