しばらく二人は静かに笑い合った。

穏やかな時間が流れる。

やがて琉羽は空を見上げ、小さく息を吐いた。


琉羽「綺羅。」


綺羅「なに?」


琉羽は少し照れくさそうに笑った。


琉羽「もう俺のためだけに生きるな。」


その言葉に綺羅は息を呑む。


琉羽「俺はもう大丈夫。だから今度は、お前が幸せになれ。」


綺羅の瞳から涙が溢れ続ける。

首を横へ振ろうとした、その時。

琉羽は少しだけ悪戯っぽく笑った。


琉羽「今のお前には守りたい奴がいるだろ。」


星那の笑顔が脳裏に浮かぶ。

屋上で眠る姿。

「見つけた。」と言って安心した顔。

自分を失いそうになって泣き崩れた姿。

綺羅は涙を流しながら、小さく頷いた。


綺羅「……うん。」


琉羽は満足そうに笑うと、ゆっくり綺羅へ背を向けた。


綺羅「待って!」


思わず手を伸ばす。

しかし琉羽は振り返らない。

右手を軽く上げたまま、優しい声で言った。


琉羽「星那を待たせんな。」


その言葉を最後に、琉羽の姿は白い光の中へ溶けていく。

綺羅は涙を流しながら、その背中へ向かって笑った。


綺羅「……ありがとう。琉羽大好きだったよ。」

白い世界は静かに光へ包まれ、綺羅の意識はゆっくりと現実へ戻り始めていた。