星那は静かに目を閉じた。
すると自然と、綺羅と出会った日のことが頭へ浮かぶ。
屋上で一人で風に当たっていた綺羅。
何となく隣へ行って何となく名前を呼んだ。
『綺羅。』
『なに?』
あの優しい声は初めて聞いた時から、不思議と心地よかった。
それから。
『眠い。』
そう言った自分へ。
『寝たら?』
と笑ってくれた。
『膝貸して。』
自分でもどうしてあんなことを言ったのか分からない。
でも、綺羅は困ったように笑いながら、
『しょうがないな。』
と言って膝を貸してくれた。
あの日、生まれて初めてだった。
誰かのそばで、心から安心して眠れたのは。
星那(……あの時。)
すごく、安心した。
温かくて気持ちよくてずっとこのままでいたいと思った。



