翌朝。

病院の廊下には静かな朝日が差し込んでいた。

昨夜、一睡もしていない星那は、病室のなかの椅子へ座ったまま綺羅を見つめていた。

看護師が通り過ぎても。

医師が声を掛けても。

小さく頭を下げるだけで、その場を動こうとはしない。

ただ、綺羅が目を覚ますのを待ち続けていた。

ガチャ。

病室の扉が開く。

真尋達が飲み物や朝食を持ってやって来た。


真尋「星那。」


星那はゆっくり振り向く。

目の下の隈は昨日より濃くなっていた。


真尋「……寝てねぇだろ。」


星那は小さく首を横へ振る。


星那「眠れない。」


その短い一言だけで十分だった。

真尋は何も言えず、缶コーヒーを星那へ差し出した。