医師が病室へ案内しようと歩き始めた、その時だった。

星那が静かに口を開く。


星那「……会えますか。」


医師は振り返り、小さく頷いた。


医師「短時間なら。」


その一言を聞いた星那は、ゆっくり病室へ足を踏み出した。

部屋の中で白いベッドの上には、たくさんの管に繋がれた綺羅が静かに眠っていた。

包帯が巻かれた背中に青白い顔。

規則正しく鳴る心電図の音だけが部屋へ響く。

星那はベッドの横へ歩み寄ると、そっと綺羅の手を握った。

冷たかったその手は、少しだけ温もりを取り戻していた。

星那はその手を両手で包み込み、小さく呟く。


星那「……今度は、おれが守る。」


眠る綺羅は答えない。

それでも星那は、握った手を離さなかった。

窓の外では、長い夜が静かに明け始めていた。