それから十分ほど経った頃。

病院の廊下を慌ただしい足音が響く。


真尋「星那!」


那瑠「間に合ったか!」


綾人「綺羅は!?」


紫月も息を切らしながら手術室の前へ駆け付けた。

四人は赤く点灯したランプを見る。

そして、そのすぐ近くで膝を抱えたまま動かない星那へ視線を向けた。


真尋「……星那。」


返事はない。

ゆっくり近付くと、星那の両手にはまだ綺羅の血が付いたままだった。


那瑠「……洗ってねぇのか。」


綾人も何も言えない。

紫月は静かに星那の隣へ腰を下ろした。

しばらく誰も口を開かなかった。

病院の廊下には時計の針が進む音だけが響く。

やがて紫月が、小さく口を開いた。


紫月「……自分を責めるな。」


その一言に、星那の肩がわずかに震えた。