担架が救急車へ運ばれていく。

星那はその後を追い掛けた。

綺羅の手が、担架から力なく垂れている。

星那は咄嗟にその手を握った。


星那「綺羅……。」


冷たくなり始めたその手を、両手で包み込む。


救急隊員「付き添いの方は一名だけ乗れます。」


真尋達は顔を見合わせた。

紫月が静かに口を開く。


紫月「星那。」


星那は顔を上げる。


紫月「行ってこい。今、一番そばにいてほしいのはお前だ。」


真尋も小さく頷く。


真尋「あぁ。綺羅を頼んだ。」


星那は何も言わなかった。

ただ、小さく頷く。

そして綺羅の手を握ったまま、救急車へ乗り込んだ。

扉が閉まる。

サイレンが鳴り響き、救急車は夜の街へ走り出した。