皇蓮司は血を吐きながら地面へ倒れ込む。

それでも星那は歩みを止めない。

ゆっくり近付き、皇蓮司の胸ぐらを掴み上げた。

拳を振り上げる。

その時だった小さな声が夜風に乗る。


綺羅「……せ……な。」


かすれた、消えそうな声。

星那の拳がぴたりと止まる。

もう一度。


綺羅「……星那。」


その声を聞いた瞬間。

星那の瞳から怒りが消えた。

振り返るとそこには、苦しそうに身体を起こそうとしている綺羅の姿。


星那「……綺羅!」


皇蓮司を突き放し、一目散に綺羅の元へ駆け寄る。

地面へ膝をつき、震える手で綺羅の身体を支えた。


星那「喋らなくていい。もう大丈夫。ここにいる。」


その声は震えていた。

綺羅は痛みに顔を歪めながらも、小さく微笑む。


綺羅「……ごめん。約束……。守れそうに……ない。」


星那は首を何度も横へ振る。


星那「違う。帰る。絶対、一緒に帰る。」


その言葉に、綺羅は安心したように目を細めた。

その二人の姿を見つめながら、真尋達はようやく黒焔の下っ端達を突破し、駆け寄っていった。