戦いはさらに激しさを増していく。

怒号。

拳のぶつかる音。

鉄パイプが地面へ転がる音。

辺りは完全に戦場だった。

綺羅は皇蓮司へ向かって駆け出す。

皇蓮司も迎え撃つように拳を振り抜いた。

互いの拳が交差する。

その時少し離れた場所で戦っていた星那の視界に、一人の黒焔の下っ端が映った。

男は倒れていた鉄パイプを静かに拾い上げる。

そして皇蓮司しか見えていない綺羅の背後へ、ゆっくり近付いていく。

星那の瞳が大きく見開かれる。


星那「……っ!」


時間が止まったように感じた。

下っ端は鉄パイプを大きく振り上げる。

綺羅は気付いていない。

星那は反射的に綺羅へ向かって駆け出した。

あと数歩。

間に合え。

そう願いながら。