倉庫の空気は静まり返っていた。

さっきまでの話し合いが終わり、それぞれが出発の準備を始めている。

真尋は机の上に広げた地図を折り畳み、ポケットへしまった。

那瑠は革手袋をはめ直し、綾人は愛車の鍵を指先で回している。

紫月は窓の外へ視線を向けたまま、小さく口を開いた。


紫月「動くなら日付が変わる頃だ。」


真尋「あぁ。それまで少し休んどけ。」


綺羅は小さく頷いた。

その時だった。

グゥゥゥ……。

静かな倉庫に、可愛らしい音が響く。

全員の視線が一斉に綺羅へ向く。

綺羅は耳まで真っ赤になった。


綺羅「……。」


那瑠「……今の。」


真尋「腹か?」


綺羅は恥ずかしそうに顔を逸らした。


綺羅「……違う。」


そう言った瞬間。

グゥゥゥ……。

もう一度鳴る。

数秒の沈黙。

そして。


真尋「あははははっ!」


那瑠「我慢すんなよ!」


綾人「五日もまともに食ってなかったんじゃねぇのか?」


綺羅は俯いたまま、小さく答えた。


綺羅「……コンビニのおにぎりだけ。」


倉庫の空気が一気に変わった。