翌日の夜。

倉庫には重苦しい空気が流れていた。

誰一人として笑わない。

テーブルの上には綺羅が五日間かけて集めた黒焔の情報が並べられている。

見張りの配置。

交代時間。

幹部の人数。

皇蓮司が姿を現す時間。

真尋は腕を組み、地図へ視線を落とした。


真尋「……思ってたより厄介だな。」


綾人「見張りだけでも六人。」


那瑠「正面から突っ込むのは無理だ。」


紫月は静かにメモ帳をめくる。


紫月「裏口は二人。だが、中へ入れば囲まれる。」


綺羅は黙ったまま地図を見つめていた。

ここへ来るまで何度も考えた。

何度も一人で乗り込もうと思った。

でも昨日、星那が倒れた瞬間。

その考えは初めて揺らいだ。


綺羅「……みんな。」


静かに口を開く。

全員が綺羅を見る。


綺羅「お願いがある。」


部屋が静まり返る。

綺羅は拳を握り締め、小さく息を吸った。


綺羅「皇蓮司だけは……私にやらせて。」


その瞳だけは、一切揺らいでいなかった。