紫月はメモ帳を閉じると、静かに綺羅を見つめた。


紫月「……だから一人で乗り込むつもりだったのか。」


綺羅「うん、皇蓮司だけは私の手で終わらせるって決めてた。」


その声に迷いはない。

琉羽を失った日から、一度も揺らいだことのない決意だった。

真尋は大きく息を吐き、壁にもたれかかる。


真尋「綺羅、俺達は止めねぇ。」


綺羅は驚いたように顔を上げた。


真尋「仇を討ちたい気持ちは分かる。もし俺が同じ立場でも、多分同じこと考える。」


綾人も静かに頷く。


綾人「でも、一人では行かせねぇ。」


那瑠「仲間だからな。」


綺羅は何も言えなかった。

胸の奥がじんわり熱くなる。

一人だと思っていた。

復讐は、自分一人で背負うものだと思っていた。

でも目の前には、当たり前のように隣へ立とうとしてくれる仲間がいる。

その事実が、綺羅の心を少しずつ溶かしていった。