なんなんだろう。この人。
そう思いながら煙草を口元へ運ぶ。
風に流される白い煙をぼんやり眺めた。
隣では星那が眠っている。
本当に寝ている。
さっきまで普通に話していたはずなのにこんな短時間で眠れるものなんだろうか。
少しだけ不思議だったけどまぁ、どうでもいいけど。
私は視線を空へ戻した。
空を見るのは好きだった。
何も考えなくて済むから。
嫌な事も思い出したくない事も全部遠くへ置いていける気がする。
だから屋上も好きだった。
静かだし人もいないし一人になれるってそう思っていたのに。
ちらりと隣を見る。
いる。普通にいる。
そして寝ている。
人がいるのに全く気にならないのは少し珍しかった。
普通なら居心地が悪くなる。気を遣うし、話しかけられないか警戒もする。
でも星那は違った。
話しかけてこないし詮索もしない。
ただ勝手に寝ているだけ。それだけなのに、不思議と楽だった。
その時、予鈴が校内に響いた。
そろそろ戻らないといけないらしい。
面倒だな。思わずため息が漏れる。
久しぶりの学校生活は思っていたより疲れる。
まだ半日も経っていないのに。
私は煙草を消すと立ち上がった。
星那「……授業?」
突然声がして振り向くと星那が薄く目を開けていた。
今起きたらしい。
綺羅「予鈴鳴ったし」
そう答えると星那は少しだけ空を見上げた。
そして。
星那「じゃあサボるか」
真顔で言ってくるから思わず固まる。
いや。そうはならないでしょ。
月ヶ瀬学園。
やっぱり変な人しかいないのかもしれない。



