真尋は慌てて個室の扉を開けた。

倉庫の奥にある小さな部屋。

置かれているのは簡素なベッドが一つだけだった。


真尋「綺羅、とりあえず星那を寝かせよう。」


綺羅は静かに頷き、星那をゆっくりベッドへ降ろそうとする。

その瞬間だった。

ギュッ――。

綺羅のパーカーを握る星那の手に力が入る。


綺羅「……あ。」


眠ったままなのに、離そうとするとさらに強く握り締める。


那瑠「おいおい……。」


綾人「無意識かよ。」


真尋は苦笑しながら、そっと星那の指を開こうとした。


真尋「星那。綺羅は逃げねぇから。」


一本ずつ優しく指を外す。

だが離れたと思った次の瞬間。

また綺羅の服をぎゅっと掴み直した。


那瑠「すげぇ執着。」


綾人「ここまでとは思わなかったな。」


綺羅は困ったように星那を見つめる。

眠っているはずなのに。

その表情は、どこか不安そうだった。

その時紫月が静かに口を開いた。


紫月「……無理に離さなくていい。」