綺羅は今日の監視を終え、ビルの階段を下りてきたところだった。

メモ帳には十分な情報が集まり始めている。

(あと少し。)

(あと少しで終わる。)

そう思いながら歩き出そうとした、その時。

後ろから聞き慣れた声が耳に届く。


星那「……綺羅。」


綺羅の身体がびくりと震えた。

ゆっくり振り返る。

そこには制服姿の星那が立っていた。

目の下には濃い隈で髪も少し乱れている。

綺羅は目を見開いた。


綺羅「……星那?」


どうして。

どうしてここにいるの。

その言葉が喉まで出かかった。

星那は何も言わず、ゆっくり綺羅の方へ歩いてくる。

怒っている様子はない。

責める様子もない。

ただ綺羅の目の前まで来ると、小さく口を開いた。


星那「……見つけた。」


それだけだった。

たった四文字。

その一言だけで、綺羅の胸が締め付けられる。


綺羅「なんで……なんでここにいるの……。」