教室で見た時と同じ。

相変わらず眠そうな顔をしている。


星那「何してんの?」


もう一度そう聞かれる。

私は手に持っていた煙草へ視線を落とした。

見れば分かると思うんだけどと思ったけど口には出さない。面倒だから。


綺羅「見て分かんない?」


そう返すと星那は私の手元を見て一言。


星那「不良じゃん」


なんだその感想。思わず吹き出しそうになる。月ヶ瀬に通ってる人間が言う言葉とは思えなかった。


綺羅「人のこと言えないでしょ」


そう言うと星那は少しだけ首を傾げる。


星那「俺吸わないし」


それは知らないし、というか興味もない。私は煙草を口元へ運びながら空を見上げた。

風が気持ちいい。教室の騒がしさが嘘みたいだった。

しばらく沈黙が続く。

気まずい。

別に話したい訳じゃないけど、だからと言って追い返す理由もない。

すると星那はフェンスの近くへ歩いていき、そのまま座り込んだ。

そして目を閉じる。


綺羅「寝るの?」


思わず聞いてしまった。


星那「うん」


即答だった。

この人本当にどこでも寝るんだ。

少し呆れる。

だけど不思議と嫌な感じはしなかった。

話しかけてこないからかもしれない。

詮索もしないし変に気を遣ってくる事もない。

ただそこにいるだけ。それが少しだけ楽だった。

だからと言って仲良くなるつもりはないし、私はもう誰かと深く関わる気なんてなかった。

大切な人を失う痛みは知っている。

もう二度と味わいたくない。

だから近付かない。

近付けない。

そう決めているのに。


星那「……」


ふと視線を向ける。

さっきまで話していたはずの星那は、もう本当に寝ていた。

早すぎるでしょ。思わず呆れたように息を吐く。