放課後。

綺羅は今日もビルの屋上にいた。

吹き抜ける風が髪を揺らす。

双眼鏡を覗き込み、黒焔のアジトを見下ろした。

昼とは違い、夕方になると出入りする人間が増えていく。

バイクが三台。

車が一台。

見張りが交代する。

綺羅は無言でメモを取り続けた。

(まだ……。)

(皇蓮司は出てこない。)

その頃、倉庫では。


真尋「今日も来なかったな。」


真尋が静かに呟く。

那瑠も綾人も笑わない。

いつもなら賑やかな倉庫は、今日はどこか静かだった。

紫月は腕を組み、真尋へ視線を向ける。


紫月「もう待つのは終わりだ。明日、探そう。」


真尋は頷く。


真尋「あぁ。俺達だけじゃねぇ。真央さんにも話す。」


その時だった。

今まで黙っていた星那が、ゆっくり立ち上がる。

全員の視線が集まる。


星那「……俺も探す。」


短い一言。

それだけだった。

けれど、その瞳から眠気は消えていた。

綺羅がいなくなって四日。

安心して眠れる場所を失った星那は、自分でも気付かないまま、少しずつ限界へ近付いていた。