男達は繁華街を抜け、人通りの少ない裏路地へ入っていく。

綺羅は角を曲がるたびに足を止め、姿を見失わない程度の距離を保つ。

足音すら殺しながら。

昔、夜桜と二人で何度も敵対する暴走族のアジトを探ったことがある。

尾行には慣れていた。

男達は煙草を吸いながら笑っている。


黒焔の下っ端A「昨日の見回り、マジだりぃ。」


黒焔の下っ端B「総長がピリついてっから仕方ねぇよ。」


その言葉に、綺羅の耳がぴくりと動く。

(総長……。)

自然と歩幅が小さくなる。

男達は古びた工場跡の前で立ち止まった。

辺りには人影がない。

大きな鉄の門に錆び付いたフェンス。廃工場にしか見えない。

だが、男の一人が門を二度叩く。

ギィ……。

門がゆっくり開いた。

中へ入っていく二人。

門は再び閉じられる。

綺羅は少し離れた電柱の陰から、その光景を見つめていた。

(ここか。)

鼓動が速くなる。

ようやく見つけた。

ずっと探し続けていた、琉羽の仇へ繋がる場所を。