家へ帰る途中。

綺羅は今日の出来事を思い返していた。

星那と過ごした昼休み。

肩を貸したこと眠そうな笑顔。

そして。

『綺羅がいるから。』

何度思い出しても、頬が熱くなる。


綺羅「もう……。本人は絶対分かってないんだろうな。」


苦笑しながら空を見上げる。

空はすっかり夜へ変わり、月が静かに街を照らしていた。

その時だった。

ブォォォン――。

一台のバイクが綺羅の横を勢いよく走り抜ける。

綺羅は反射的に視線を向けた。

黒い特攻服。

見覚えのある炎の刺繍。

ほんの一瞬だった。

すぐにバイクは夜の街へ消えていく。

綺羅の足が止まる。

鼓動が大きく鳴った。

(今の……。)

確信はない。

見間違いかもしれない。

それでも胸の奥で眠っていた復讐心が、静かに目を覚まし始める。

綺羅はバイクが走り去った道を、しばらく黙って見つめ続けていた