ホームルームが終わると同時に教室が騒がしくなる。
休み時間というだけで、なんでこんなに元気なんだろう。
少しだけ感心する。私には真似できそうになかった。
翔「綺羅!」
また翔だ。本当に元気だな。
翔「学食行こうぜ!」
綺羅「行かない」
翔「即答!?」
翔が大袈裟に肩を落とす。
だけど今は一人になりたかった。知らない人ばかりの場所は思っていた以上に疲れる。
綺羅「ちょっと外の空気吸ってくる」
そう言い残し、私は教室を後にした。
廊下を歩きながら階段を上っていく。
行き先は決まっていた。
昔から一人になりたい時に行く場所。
そこが屋上。
重い扉を押し開けると、少し強めの風が髪を揺らした。
思わず目を細める。
空が近い。嫌いじゃない景色だった。
誰もいない事を確認してからフェンスの近くへ向かう。
ポケットに手を入れて指先に触れた小さな箱に少しだけ視線を落とした。
昔からの癖だった。
やめようと思った事は何度もある。
だけど、なかなかやめられない。
小さく息を吐いて空を見上げる。
青い空はどこまでも広がっていた。
平和だな。
そんな事を思った時だった。
?「……何してんの」
不意に後ろから声が聞こえて振り返る。
そこに立っていたのは――。
教室でずっと寝ていた九条 星那だった。



