しばらく歩くと、二人が別れる交差点が見えてきた。

ここから先は帰る方向が違う。

自然と二人の歩く速度がゆっくりになる。

綺羅は少しだけ名残惜しさを感じながら足を止めた。


綺羅「じゃあ……ここだね。」


星那も立ち止まり、綺羅を見る。


星那「うん。」


短い返事。

それなのに、その場を離れる気配がない。

綺羅は少し首を傾げる。


綺羅「星那?」


星那は数秒黙ったまま綺羅を見つめていた。

やがて、小さく口を開く。


星那「また明日。」


綺羅「うん。また明日。」


お互いに笑い合う。

それだけで十分だった。

綺羅が踵を返して歩き始める。

数歩進んだところで、何となく振り返った。

すると星那はまだその場に立っていた。

綺羅と目が合う。


綺羅「まだいたの?」


星那は眠そうな顔のまま頷いた。


星那「見送ってた。」


あまりにも自然に言われた一言。

綺羅は少し照れくさそうに笑う。


綺羅「ありがと。今度こそ帰るね。」


そう言って手を振ると、星那も静かに手を振り返した。