歩道橋の階段をゆっくり上る。

夕日が街並みを赤く染めていた。

綺羅はフェンス越しに広がる景色を眺める。


綺羅「綺麗……。」


その一言に、星那も空を見上げた。

しばらく二人で夕日を眺める。

言葉はいらなかった。

風だけが静かに吹き抜けていく。

すると。


星那「綺羅。」


名前を呼ばれ、綺羅は振り向く。


綺羅「なに?」


星那は少しだけ考えてから、小さく口を開いた。


星那「最近倉庫、好き。」


綺羅は優しく笑う。


綺羅「みんないるもんね。」


星那は首を横へ振った。


星那「それもある。」


少しだけ間を置く。

そして眠そうな目で綺羅を真っ直ぐ見つめた。


星那「でも、綺羅がいるから。」


あまりにも自然に言われた一言だった。

綺羅は目を丸くする。

胸がどくん、と大きく鳴る。

星那本人は照れることなく、また夕日へ視線を戻した。

その言葉の意味に気付いていないのは、きっと本人だけだった。