綺羅は肩へ寄り掛かって眠る星那を、もう一度そっと見つめた。

安心しきった寝顔。

どこか幼く見える横顔。

少し前まで苦しそうに眉を寄せていた人と同じとは思えないほど穏やかだった。

(……私の隣だと、すぐ寝る。)

紫月の言葉が頭から離れない。

どうしてなんだろう。

自分でも分からない。

でも、不思議と嫌な気持ちはしなかった。

むしろ、こんなにも安心して眠ってくれることが少しだけ嬉しかった。

綺羅は星那の肩からずり落ちそうになった毛布を、そっと掛け直す。

その動きに反応するように、星那が小さく身じろぎした。

綺羅は思わず息を止める。

起きたかと思った。

けれど星那は眠ったまま、無意識に綺羅の制服の袖をきゅっと掴んだ。


綺羅「……え?」


小さく目を見開く。

掴んだまま離さない。

まるで、そこに綺羅がいることを確かめるように。

綺羅は困ったように笑い、小さく呟いた。


綺羅「寝ぼけてるだけ、だよね。」


返事はもちろんない。

静かな寝息だけが、倉庫に優しく響いていた。