綺羅は肩へ伝わる重みに視線を落とした。

ほんの少し前まで眠そうだった星那は、もうぐっすり眠っている。

(寝るの……早い。)

昨日もそうだった。

膝枕をした時も肩を貸した時も綺羅の隣では、いつも数秒で眠ってしまう。

不思議だけど、嫌な気持ちはしなかった。

むしろ安心しきった寝顔を見ると、自然と笑みがこぼれる。


綺羅「おやすみ。」


小さな声で呟く。

少し離れた場所では、カードを配っていた真尋がその様子を見て笑った。


真尋「また綺羅の肩で寝たな」


那瑠「昨日もだったよな」


綾人「本人はム意識なんだろうけど」


紫月は本を閉じることなく、静かに口を開く。


紫月「昔からだ。」


四人の視線が紫月へ向く。


紫月「寝不足のくせに、眠りにつくまでが長い。だから、昼間になると限界が来る。」


真尋が小さく頷く。


真尋「夜もあんまり寝らんねぇんだよな。」


那瑠「でも、一回寝たら全然起きねぇ。」


2人が苦笑する。

綺羅は眠る星那へ視線を落とした。

(そうだったんだ……。)

紫月はページをめくりながら、ぽつりと呟く。


紫月「なのに。」


みんなが紫月を見る。


紫月「綺羅の隣だと、すぐ寝る。」


倉庫が一瞬静かになる。

綺羅は思わず紫月を見る。


綺羅「……え?」


紫月「昨日も今日もお前の隣に座った途端だった。そんなこと、今まで一度もなかった。」


その言葉に、綺羅は眠る星那を見つめた。

安心しきった寝顔に穏やかな寝息。

その姿を見ていると、不思議と胸が温かくなる。

一方の星那は何も知らず、綺羅の肩へ身を預けたまま静かに眠り続けていた。