星那が綺羅の肩へそっと頭を預けていた。

眠そうに目を閉じたまま、規則正しい呼吸を繰り返している。


綺羅「え……。」


思わず身体が固まる。

起こそうと肩へ手を伸ばす。

けれど。


星那「……あったかい。」


小さく呟いたその声は、もう寝言のようだった。

その一言だけ残し、再び静かな寝息を立て始める。

綺羅は伸ばしかけた手を止めた。

(……もう。)

(無防備すぎるよ。)

困ったように笑う。

それでも肩を貸したまま動かなかった。

起こしたら気持ちよさそうに眠る星那が可哀想で、結局そのままにしてしまう。

少し離れた場所では、真尋達がその様子に気付いていた。


真尋「見たか?」


那瑠「また綺羅のとこ行ってる。」


綾人「完全に無意識だな。」


紫月は本を閉じることなく、小さく口元だけを緩める。


紫月「……あいつらしい。」


三人もそれ以上は何も言わなかった。

今の星那を起こしたら、きっと本人は何も覚えていない。

だから誰も茶化さない。

静かな倉庫には、ゲームをする声と、星那の穏やかな寝息だけがゆっくりと流れていた。