風に揺れる柔らかな髪。

長い睫毛。

穏やかな寝息。

いつも眠そうな星那だけど、寝顔は思っていた以上に幼く見えた。

警戒心なんて少しもなく、自分の膝へ体重を預けている。

その無防備さが少し可愛くて、綺羅は思わず口元を緩めた。


綺羅「……かわいい。」


本当に小さな独り言だった。

聞こえるはずなんてない。

そう思っていたその瞬間だった。


星那「聞こえた。」


綺羅「ひゃっ!?」


綺羅は肩をびくっと震わせる。

慌てて星那を見ると、目は閉じたまま。

けれど口元だけが少しだけ緩んでいた。


綺羅「ね、寝てたんじゃないの!?」


星那「寝る前でちゃんと聞こえた。」


綺羅は耳まで真っ赤になる。


綺羅「ち、違うから!今のなし!」


星那はゆっくり目を開ける。

その表情は相変わらず眠そうなのに、どこか少しだけ嬉しそうだった。


星那「やだ。」


即答だった。

綺羅は思わず目を丸くする。


綺羅「え?」


星那「初めて言われた。かわいいって。」


その言葉に、綺羅はますます恥ずかしくなる。

両手で顔を隠し、小さくうめいた。

綺羅「もう……恥ずかしい……。」