翌日。

昼休みを知らせるチャイムが校内へ響く。

綺羅は購買で買ったパンとジュースを持ち、屋上へ続く階段を上っていた。

昨日の帰り道を思い出す。

『綺羅がいた方が落ち着く。』

その言葉が何度も頭の中で繰り返される。


綺羅「もう……無意識なんだろうなぁ。」


小さく笑いながら屋上の扉を開ける。

春風が優しく吹き抜けた。

フェンスにもたれ、空を眺めていた星那がゆっくりこちらを向く。


星那「来た。」


綺羅「約束したから。」


星那の隣まで歩いていき、同じようにフェンスへ寄り掛かる。

綺羅「それで?眠いんでしょ?」


星那は綺羅をじっと見つめる。

何も言わない。

数秒沈黙が流れる。


綺羅「……なに?」


首を傾げた綺羅へ、星那は真顔のまま一言だけ告げた。


星那「膝。」


綺羅「……え?」


星那「貸して。」


あまりにも真剣な顔だった。

綺羅はぱちぱちと瞬きを繰り返す。

そして、耐えきれず笑ってしまう。


綺羅「ほんとに寝る気だったの?」


星那は迷いなく頷いた。


星那「うん。」