夕焼け色に染まっていた河川敷は、いつの間にか夜の静けさに包まれていた。
川の流れる音だけが、穏やかに耳へ届く。
綺羅と星那は肩を並べ、ゆっくりと土手の道を歩いていた。
どちらも何も話さない。
それなのに、不思議と気まずさはない。
綺羅は少しだけ視線を横へ向ける。
星那は相変わらず眠そうな顔で前だけを見て歩いていた。
さっきまで「一人にしたくない」と言ってくれた人と同じとは思えないくらい、いつも通りで。
そのギャップがおかしくて、綺羅は小さく笑ってしまう。
綺羅「……ふふっ。」
笑い声に気付いた星那がゆっくり振り向く。
星那「……?」
首を傾げる姿まで眠そうで、綺羅はさらに笑みを零した。
綺羅「なんでもない。……でも、ありがと。」
星那は足を止めることなく綺羅を見る。
星那「ん。」
綺羅「今日、来てくれて。一人だったら、また色々考え込んでたと思う。だから……助かった。」
少し照れくさそうに笑う綺羅を見て、星那は静かに頷いた。
星那「隣にいるって約束した。だから……」
その短い一言が、綺羅の胸へ静かに染み込んでいく。
励ましでもないし慰めでもない。
ただ約束を守ってくれる。
それだけで、こんなにも安心できるなんて思わなかった。
綺羅は空を見上げ、小さく微笑んだ。



