足音は綺羅の隣で止まる。

綺羅は振り返らない。

誰が来たのか分かっていた。

静かに腰を下ろす音がする。

星那だった。

二人とも何も話さない。

風だけが静かに吹き抜けていく。

しばらく沈黙が続いたあと、綺羅がぽつりと呟いた。


綺羅「……帰って。」


星那「やだ。」


即答だった。

綺羅は少しだけ眉をひそめる。


綺羅「放っといて。」


星那「放っとけない。」


短い言葉。

それだけなのに、綺羅の胸が少しだけ苦しくなる。


綺羅「なんで。」


星那は川を見つめたまま答える。


星那「一人にしたくない。」


その一言に、綺羅は何も返せなかった。

また沈黙が流れる。

でも、不思議とその沈黙は嫌じゃなかった。