倉庫には重い沈黙だけが流れる。

真尋はゆっくり立ち上がった。


真尋「……だからあんなに無理して笑ってたのか。」


那瑠も頭を掻きながら苦笑する。


那瑠「俺さ、綺羅ってただクールな奴なんだと思ってた。全然違ったな……。」


綾人は静かに扉の方を見る。


綾人「一人で抱え込み過ぎだろ。」


紫月は腕を組んだまま、静かに目を閉じる。


紫月「……夜桜。」


小さくその名を呟く。

そして昨日、黒焔の下っ端が叫んでいた言葉を思い出す。

『月華だ……!』

あれは恐怖だった。

伝説を目の前にした人間の顔だった。

その時椅子から静かに立ち上がる音がした。

全員が振り向く。

星那だった。

眠そうだった表情はもうない。

真っ直ぐ出口だけを見つめている。


真尋「……星那?」


星那は短く答える。


星那「迎えに行く。」


その一言だけ残し、静かに倉庫の扉へ向かって歩き出した。

その背中を見つめながら、真央は小さく微笑む。


真央「……頼んだぞ、星那。」


その言葉に、星那は振り返ることなく、小さく頷いた。