綺羅は震える手で琉羽の身体を強く抱き締めた。


綺羅「嫌だ……お願いだから……救急車……!誰か、救急車呼んでよ!!」


叫んでも、返事はない。

黒焔の連中は少し離れた場所で、その光景を眺めているだけだった。

皇蓮司は鉄パイプを肩へ担ぎ、冷たく笑う。


皇蓮司「助かるわけねぇだろ。」


その一言に、綺羅はゆっくり顔を上げた。

瞳には涙よりも強い怒りが宿っていた。


綺羅「……お前。」


立ち上がろうとした、その腕を琉羽が弱々しく掴む。


綺羅「琉羽……?」


琉羽は首を横へ振った。

もう声を出すだけでも苦しいはずなのに、それでも綺羅を止めようとしていた。


琉羽「……行くな。」


綺羅「でも……!」


琉羽「殺される!」


綺羅「今度こそ私が守るから!」


その言葉を聞いた琉羽は、小さく笑った。

どこまでも優しい笑顔だった。

琉羽「違う。ずっと……。守られてたのは……俺の方だ。」