「趣味は?」

「彼氏いる?」

「どこ住み?」

「好きな食べ物は?」

質問が一気に飛んでくる。

みんなでわーわー言われても何言ってるか分かんないし全然追いつかない。

一人ずつ喋ってほしい。

切実に。


翔「お前ら落ち着けって」


翔が笑いながら止めるけど誰も止まらないし止まる気もない。騒がしい。本当に騒がしい。

さっきから思っていたけど、このクラス元気すぎない?

そんな私を見て翔が苦笑した。


翔「まぁみんな悪い奴じゃないから安心しろ」


そう言われて周りを見るけど、確かに怖そうな人はいない。むしろ人懐っこい人ばかりだ。

少しだけ肩の力が抜けた。


翔「そういえばさ」


翔が急に声を潜める。


翔「綺羅、さっきから隣見てたよな?」


思わず視線が隣へ向く。

相変わらず机に突っ伏したまま微動だにしていない。


翔「あいつ気になる?」


翔が面白そうに笑う。

別に気になるというか、ただあんな状況で寝ている人を初めて見ただけだ。

すると翔はさらに声を潜めた。


翔「そいつ、九条星那」


九条星那(くじょう せな)

どこかで聞いたような名前だった。


翔「煌月の幹部」


その瞬間に教室の空気が少しだけ変わった気がした。

煌月(こうげつ)

ここら一体をまとめてる正統派の族だな。関わったことはないけどバレたらめんどくさいしこれからも関わらないように気をつけよ。

この学校に暴走族いたのか。真央はなんでその事教えてくれなかったんだろ。私は裏にはもう関わりたくないって分かってるくせに。

私はもう一度隣を見る。

だけど星那は教室の空気が代わったなんてどうでもいいと言うように眠り続けていた。