少しだけ気になって、その姿を見つめた。

青みがかった黒い綺麗な髪に長いまつ毛。目をつぶっていても分かる整った横顔。

あんなに騒がしいのに起きる気配すらない。

すごいなぁ。ある意味尊敬する。私だったら絶対眠れない。

というか今も緊張で心臓がうるさいくらいなのに。

そんな事を考えていると。


?「なぁ!」


突然目の前から大きな声が飛んできてびくっと肩が跳ねる。

心臓止まるかと思った。

反射的に顔を上げると、前の席の男子が申し訳なさそうに笑っていた。

茶色の髪に人懐っこそうな顔。

見るからに明るいタイプだ。


?「ごめんごめん!そんな驚くと思わなくて」


いや、驚く。普通に驚いた。

いきなり大声出されたら誰だって驚くと思う。


翔「俺、一ノ瀬翔!よろしくな!」


そう言って差し出された手を見る。

少し迷いながら手を伸ばすと、翔は嬉しそうに笑った。

距離感近いなこの人。

でも悪い人ではなさそうだった。


綺羅「雨宮綺羅」


翔「知ってる!」


知ってるのか。

まぁさっき自己紹介したし知ってて当たり前か。


翔「てかマジで女なんだなー」


翔がしみじみ言う。

なんだその感想。珍しい動物を見るみたいな目はやめてほしい。

私は珍獣か?珍獣なのか?


翔「月ヶ瀬始まって以来の大事件だぞ」


大事件だなんてこの人大袈裟だな。

そう思ったけど、女子が一人もいなかった学校なら確かにそうなのかもしれない。

すると周りの男子達もわらわら集まってきた。