倉庫の中が静まり返る。

綺羅は俯いたまま動かなかった。

膝の上で握り締めた拳が、小さく震えている。

真尋はそんな綺羅を不思議そうに見つめた。


真尋「……綺羅?」


返事はない。

綾人が口を開く。


綾人「そんな驚くか?黒焔なんてこの辺じゃ有名人だぞ」


那瑠も頷く。


那瑠「あいつら、ほんと困った族だからな。真正面じゃ勝てねぇくせに、平気で後ろから襲うし。」


真尋「武器も平気で使う。」


綾人「人数で囲むなんて当たり前。」


紫月は腕を組んだまま静かに続けた。


紫月「俺達とは真逆だ。正々堂々戦う気なんて最初からない。」


その言葉を聞くたびに、綺羅の鼓動は速くなっていく。

背後から。武器。囲む。

そのすべてが、あの日の記憶と重なった。