星那の腕の中で、綺羅の身体が小さく震える。

荒かった呼吸が、少しずつ落ち着いていく。


綺羅「……っ。」


震える手が、無意識に星那の制服を掴んだ。

その瞬間だった。

張り詰めていた糸が切れるように、綺羅の身体から力が抜ける。


星那「綺羅。」


返事はない。

静かに意識を失った綺羅を、星那はそっと抱き留めた。

真尋達も駆け寄る。


真尋「大丈夫か?」


星那は綺羅の前髪をそっと払う。


星那「……眠った。」


その苦しそうだった表情も、今は少しだけ穏やかになっていた。

紫月は倒れている黒焔の下っ端達を見回す。


紫月「橘。」


橘「分かってる。」


紫月「綺羅を頼む。」


紫月の一言で、煌月の構成員達が現場の後始末へ動き始めた。

その隙を見て。

倒れていた黒焔の下っ端が、誰にも気付かれないようにゆっくりその場を離れていった。