綺羅の前へ、次々と男達が集まってくる。

倒れた仲間を見て、誰一人として逃げようとはしない。


男⑤「一人だぞ。」


男⑥「囲め。」


その一言で男達が一斉に散り、綺羅を取り囲んだ。

円を描くように距離を詰めていく。

綺羅は苦しそうに呼吸を繰り返しながら、その場に立ち尽くしていた。

もう目の前の景色は見えていない。


男⑥「今だ!」


一人が正面から飛び込む。

その瞬間。

綺羅の拳が男の頬を捉え、そのまま地面へ叩き付けた。

しかし、それは囮だった。

別の男が背後へ回る。


男⑦「後ろだ!」


金属バットが振り上げられる。

ガキィン!!

鈍い音が街へ響いた。

綺羅は咄嗟に腕で受け止める。

腕へ鋭い痛みが走る。

それでも表情は変わらない。

苦しそうな呼吸だけが、少しずつ速くなっていく。