ブチッ――。

何かが切れた音がした。

それは糸だったのか理性だったのか。

綺羅自身にも分からなかった。

綺羅はゆっくり顔を上げる。

その瞳に映るのは、もう目の前の男達ではない。

血に染まった過去だけだった。


綺羅「……触るなァッ!!」


次の瞬間。

ドゴッ!!

拳が男①の腹へ深くめり込む。


男①「がはっ!」


身体が大きく吹き飛び、道路を転がった。


男②「なっ……!」


反応する間もない。

綺羅は地面を蹴り、一瞬で距離を詰める。

肘打ち。回し蹴り。

男②の身体も勢いよくガードレールへ叩き付けられた。

鈍い音が辺りへ響く。


男②「ぐっ……!」


男達は何が起きたのか理解できない。

こんな細い少女が。

たった数秒で二人を戦闘不能にした。

綺羅は苦しそうに肩を上下させながら立っている。

拳を握り締めたまま、小さく首を振った。


綺羅「違う……違う……」


その声は、自分へ言い聞かせるようだった。