夕暮れの街を、一人歩く。

空は茜色へ染まり始め、仕事帰りの人達が足早に行き交っていた。

綺羅は俯いたまま歩く。

頭の中には、まだ琉羽の笑顔が残っていた。

その時だった。

ドンッ。

誰かと肩がぶつかる。


綺羅「……すみません。」


小さく謝り、そのまま通り過ぎようとする。

しかし、男が一歩前へ回り込んだ。


男①「おっと。」


男②「そんな急ぐなって。」


二人の男が綺羅を囲むように立つ。

綺羅は静かに視線を上げた。


綺羅「……通してください。」


男①「いいじゃん。1人なんだろ?」


男②「少し遊ぼうぜ。」


そう言いながら、男の手が綺羅の腕へ伸びる。

その瞬間だった。

綺羅の身体が、ぴくりと震えた。

触れられる。

その感覚と同時に、あの日の光景が脳裏を駆け巡る。

血。悲鳴。冷たくなっていく手。

綺羅の呼吸が、一気に乱れ始めた。