街外れの静かな霊園。

風が木々を揺らし、葉の擦れる音だけが静かに響いていた。

綺羅は花束を抱え、一つの墓石の前で足を止める。

ゆっくりとしゃがみ込み、花を供えた。

墓石には、一つの名前が刻まれている。

――神代 琉羽。

綺羅はその名前を静かに見つめた。


綺羅「……来たよ。」


返事はない。分かっている。もう何年も前から。

それでも毎年、こうして話しかけてしまう。


綺羅「今年も一人。また報告ばっかりになっちゃった」


苦笑するように小さく笑う。

だけど、その笑顔はすぐに消えた。

綺羅は墓石へそっと手を添える。

冷たい感触が掌へ伝わる。


綺羅「……会いたいよ琉羽」


その一言だけが、小さく風へ溶けていった。