一方その頃。

煌月の倉庫では、いつものように全員が集まっていた。


那瑠「綺羅まだ?」


真尋はスマホへ目を落とし、小さく肩を竦める。


真尋「今日は来れないって。」


綾人「珍しいな。」


紫月も静かに顔を上げる。


紫月「何かあったのか。」


真尋「命日らしい。」


その一言で、倉庫の空気が少しだけ重くなる。

誰の命日なのかは分からない。

けれど、その言葉だけで十分だった。


那瑠「……そっか。」


さっきまで騒いでいた那瑠も静かになる。

その中で一人だけ、星那は倉庫の入口を見つめていた。

来るはずのない扉。

それでも無意識に目で追ってしまう。

昨日まで当たり前のように隣にいた姿がない。

それだけで、倉庫が少しだけ広く感じた。

星那は小さく視線を伏せる。

胸の奥に残る、この小さな違和感。

まだ名前は分からない。

ただ一つだけ分かることがあった。

――今日は、綺羅に会いたかった。