翌日。

放課後を知らせるチャイムが校内へ響く。


翔「綺羅。」


教室を出ようとした綺羅へ、翔が駆け寄ってきた。

翔「今日も倉庫行くのか?」

その言葉に綺羅の足が止まる。

少しだけ困ったように笑ってから、小さく首を横へ振った。


綺羅「ううん」


翔「え?」


綺羅「今日は行けない。」


その声は、どこか寂しそうだった。


翔「用事?」


綺羅は少しだけ視線を落とす。

制服の裾をぎゅっと握り締め、小さく息を吐いた。


綺羅「今日は……大切な人の命日だから」


教室に一瞬だけ静かな空気が流れる。

翔は何も聞かなかった。

聞いてはいけない気がした。


翔「……そっか。」


綺羅は小さく頷く。


綺羅「みんなに、ごめんって伝えといて。」


翔「分かった。」


綺羅は微笑もうとした。

だけど、その笑顔はどこか儚く、今にも消えてしまいそうだった。

翔はその後ろ姿を、ただ静かに見送ることしかできなかった。