食事を終えた一行は、店を出て車へ乗り込んだ。

橘の運転する車は、夕暮れに染まり始めた街をゆっくり走っていく。


那瑠「腹いっぱいだー。」


真尋「食い過ぎ。」


綾人「また太るぞ。」


那瑠「太らねぇし。」


他愛ない会話が車内に響く。

綺羅は窓の外を眺めながら、小さく笑った。

こんな何気ない時間が、こんなにも心地いいなんて思わなかった。

その時、隣から小さな欠伸が聞こえる。

綺羅が横を見ると、星那が眠たそうに窓へ頭を預けていた。


綺羅「眠い?」


星那「……うん。」


それだけ答えると、またぼんやり外を眺める。

綺羅は思わず笑ってしまった。


綺羅「本当に寝るの好きなんだね。」


星那「好き。」


真面目な顔で返され、綺羅は肩を震わせる。


綺羅「ふふっ。」


その笑い声を聞いて、星那も小さく口元を緩めた。

ほんの少しだけ。

それだけだった。

だけど、その笑顔を見た綺羅の胸は、少しだけ温かくなった。