しばらくすると、おばちゃんがお茶の入った大きな急須を持って席へやって来た。
おばちゃん「はい、お茶のおかわりね。」
空になった湯のみへ順番にお茶が注がれていく。
那瑠「おばちゃん、この卵焼き今日いつもより美味くない?」
おばちゃん「毎日一緒よ。」
那瑠「じゃあ俺の舌が成長した!」
綾人「そんな訳あるか。」
真尋「成長したのは食欲だけだろ。」
再び笑いが起こる。
綺羅も思わず肩を震わせた。
その笑顔を見て、おばちゃんは優しく目を細める。
おばちゃん「綺羅ちゃん。」
綺羅「はい。」
おばちゃん「笑った顔、可愛いじゃない。」
不意にそう言われ、綺羅は目を丸くした。
綺羅「え……。」
おばちゃん「さっき入って来た時より、ずっといい顔してる。」
綺羅は何と返せばいいのか分からず、小さく俯く。
そんな自分を見ている人がいるなんて思ってもいなかった。
すると隣から、小さな声が聞こえた。
星那「……俺も。」
綺羅「え?」
星那は少しだけ照れたように視線を逸らす。
星那「笑ってる方が、いい。」
たったそれだけ。
それだけの言葉なのに、綺羅の心臓は大きく跳ねた。
真っ直ぐ過ぎるその一言に、返事ができない。
星那もそれ以上は何も言わず、静かに湯のみへ口をつけた。
耳だけが、また少し赤くなっていた。



