注文を終えると、おばちゃんがお茶を運んできた。
おばちゃん「はい、お待たせ。」
綺羅の前へ湯のみを置こうとした、その瞬間だった。
少し手が滑る。
湯のみが傾き、熱いお茶が綺羅の方へこぼれそうになる。
綺羅「っ……!」
咄嗟に身を引こうとした瞬間。
星那が素早く手を伸ばし、湯のみを支えた。
数滴だけ机へ落ちたものの、綺羅には一滴も掛からない。
おばちゃん「あらやだ、ごめんね!」
綺羅「だ、大丈夫です!」
星那は机を拭きながら、小さく息を吐く。
星那「火傷してない?」
綺羅「うん。ありがとう」
星那は安心したように小さく頷いた。
その様子を見ていたおばちゃんが、にこっと笑う。
おばちゃん「星那くん昔から優しいけど、その子には特に優しいね」
星那の動きが止まる。
那瑠は吹き出し、真尋と綾人も顔を見合わせて笑う。
星那「……。」
何も言い返せない。
ただ静かにコップへ視線を落とす。



