奥の広い座敷へ案内され、それぞれ席へ着いていく。

真尋と那瑠は向かい合わせ。

綾人は紫月の隣へ座る。

綺羅は「どこへ座ろう」と少し迷い、その場で立ち止まった。

その時だった。


星那「綺羅。」


名前を呼ばれる。

振り向くと、星那が自分の隣をぽん、と軽く叩いた。


星那「ここ。」


それだけ。

綺羅は少し照れながら席へ座る。


綺羅「……ありがとう。」


星那は小さく頷き、おしぼりを手に取った。

向かい側では、那瑠がにやにや笑っている。


那瑠「最近その席好きだな、星那。」


星那「?」


那瑠「綺羅の隣。」


星那は少しだけ考え込む。

そして真顔で答えた。


星那「落ち着く。」


一瞬。

その場の空気が止まった。


綺羅「……え?」


思わず聞き返す。

星那は首を傾げる。


星那「何?」


何も分かっていない顔だった。

真尋は額へ手を当て、大きくため息をつく。


真尋「また天然出た……。」